台湾で不妊治療、卵子提供受け110人誕生

読売新聞によると、

 不妊治療のため、台湾で卵子提供を受ける日本人女性が急増しており、2014〜16年の3年間に少なくとも177人に上ることが読売新聞の調べでわかった。
 出産した女性は96人、生まれた子どもは110人いることも判明した。台湾では卵子提供の実施を法的に管理しているものの、生まれた子どもに「出自を知る権利」を認めていないなどの問題もある。
 台湾当局が認定した生殖医療機関77施設(1月3日現在)に、現地での対面や電話、電子メールなどでアンケート調査を行い、72施設から回答を得られた(回収率94%)。台湾当局も実態を把握しておらず、まとまった出産者数などが明らかになるのは初めて。
 過去3年間に日本人への卵子提供を実施したと答えたのは4施設。9施設は実施したことがあると回答したが、時期や人数などは答えなかった。59施設は実施していないと答えており、特定の医療機関に集中している実態が分かった。
 年別では、卵子提供を受けた日本人女性は14年は17人、15年は72人、16年は88人と急増している。3年間に生まれた子どもの合計は110人だった。日本語が話せる職員を雇い、東京や大阪で説明会を開く医療機関もあり、認知度が高まったことなどが背景にあるとみられる。
 台湾では07年に生殖医療に関する法律が制定され、加齢による不妊も対象に匿名第三者から卵子提供を受けられる。提供者は各医療機関が集め、実施記録は当局に報告する。
 日本だけでなく、中国本土や米国、フィリピンなどからも不妊患者が訪れている。ただ、生まれた子どもに「出自を知る権利」を認めておらず、自分の「遺伝上の母親」を知ることはできない。
 日本では生殖医療に関する法律が未整備で、卵子提供はほとんど行われていない。世界の生殖医療の状況に詳しい埼玉医大産婦人科の石原理(おさむ)教授によると、近年、イタリアやスイスでも第三者の卵子提供を認める法改正が行われ、主要国で第三者の卵子や精子提供に関する生殖医療の法整備が進んでいないのは日本だけという。

台湾、出生率が世界最低

 女性が生涯に生む子どもの数の推計値である合計特殊出生率は1と世界最低となったことが分かった。内政部の最新統計によると、昨年の出生者数は約19万人と過去最低。出生率が予測を上回る落ち込みで推移していることで、人口が早ければ2017年にも減り始める可能性も出てきた。産業空洞化に加えて、内需の縮小も経済の重荷となりそうだ。

 出生数は2008年に20万人台を割り込み、昨年は19万1,310人(前年比約7,000人減)まで減少した。内政部が統計を始めた1981年の半分まで落ち込んでいる。出生率(人口1,000人当たりの1年間の新生児数)は8.29で、合計特殊出生率は1と香港や日本を下回った。晩婚、晩産化が進んでいることに加え、景気低迷で出産控えが起きていることが背景にあるようだ。
 
 行政院経済建設委員会(経建会)は「出生率の低下が予想以上の早さで進んでいる」と分析。予測よりも約10年早い17年に人口がマイナス成長に転じるとの見方を示した。
 
 ■児童手当支給検討
 
 こうした状況を受けて内政部は「人口政策白書」を修正し、5年以内に合計特殊出生率を1.2に、10年以内にEUと同水準の1.6に引き上げる目標を掲げた。今月26日に各部門を集めて児童手当の支給や育児環境の改善などについて協議する。
 
 現段階では、各地方団体が支給している出産一時金と育児手当を撤廃し、児童手当に変更する方針。同部は昨年、18歳までを対象に毎月5,000台湾元を支給する方向で協議を進めていたが、確定はしていない。
 
 さらに年内には立法院で「児童教育・照顧法」草案を承認し、来年関連法案を協議する予定。同時に5歳以下の幼児の教育を推進する「扶持5歳幼児教育計画」を策定し、今年から2012年にかけて対象幼児数を年間3%増やすほか、住宅ローン優遇制度や住宅補助も検討している。
 
 ■新竹市の出生率、台湾最高
 
 台湾全土で少子化の風が吹くなか、新竹県市は高水準の出生率を維持している。
 
 新竹市は台湾全土で最も高い13.04。第1子に1万5,000元、第2子に2万元を支給する出産一時金が後押ししているようだ。同様の措置をとっている新竹県も11.9と高水準にある。
 
 ■高齢化措置も同時検討
 
 少子化と同時に高齢化も加速している。経建会は退職給付金の受給年齢を引き上げるなどの措置を検討している。
 
 ただ幹部は「欧州は年金の受給年齢を67歳に引き上げることを検討しているが、台湾では失業率が高止まりしているため、すぐには無理」との考えを示している。14日付経済日報、聯合報が伝えた。