緑茶に乳がん予防効果ありませんでした

がん予防効果の研究報告もある緑茶を飲んだ人と飲まない人で、乳がんについては発生率に差はないことが、国立がん研究センターによる5万人規模の追跡調査でわかり、28日発表した。

 緑茶にはカテキンと呼ばれる抗酸化物質が豊富に含まれ、がん予防効果の可能性が示唆されていた。同センターは、欧米に比べアジアに乳がんが少ない点に注目。緑茶を飲む習慣と乳がんとの関連を調べた。

 岩手や大阪など10府県在住の40〜69歳の女性約5万4000人を対象に、1990年代初めから十数年にわたって調査。このうち581人が乳がんになった。

 同センターは、緑茶を飲む頻度を「週1杯未満」から「1日5杯以上」の6段階に分けて発症との関連を調べたが、量による差は出なかった。

 5年後に再び調査に応じた約4万4000人について、飲む頻度の分類を「1日10杯以上」にまで広げたり、煎茶(せんちゃ)や玄米茶など緑茶の種類も分けたりして詳しく調べたが、飲んだ量と発生率に関連はなかった。

ビール大ビン毎日1本以上の女性、乳がん1・75倍に

 毎日ビールを大ビン1本以上飲む女性は、まったく飲まない女性に比べて、乳がんを1・75倍も発症しやすいことが25日、厚生労働省研究班の調査で分かった。

 岩崎基・国立がんセンター予防研究部室長らは、岩手県や大阪府、沖縄県など10地域で40歳〜69歳の女性約5万人を13年間追跡調査。飲酒などの生活習慣と乳がん発症の関連を調べた。

 お酒をビールに換算して週に大ビン7本(アルコール150グラム)以上飲む人は、年齢や体重、喫煙歴、妊娠回数などを考慮しても、まったく飲まない人に比べて、乳がん発症の危険性が1・75倍高かった。週に1回以上飲む人では、1日に缶ビール1本弱(同10グラム)飲むごとに、危険性が6%ずつ増えた。

 アルコールが分解してできる発がん性物質のアセトアルデヒドなどが、乳がんを促進するらしい。岩崎室長は「飲酒によって大腸や肝臓がんの発症リスクが高まることが知られている。女性も飲み過ぎには気をつけて」と話している。